第10回 ”社会価値訴求商材”のビジネスモデル

社会貢献の収益化には、商材の市場・競合・売り方の抜本的見直しが有効な場合あり

第6回では、「信頼による商品価値向上」が対価を向上させる一方、社会貢献による顧客価値の向上は難易度が高いと述べました。

しかし今回は、この難問を解決し、「社会貢献に寄与していること(=社会価値を創造していること)」を企業の対価に変えるための発想法の一例をご紹介します。

目次

「社会貢献」を販売の決め手にすることの難しさ

今日の日本において、環境にやさしい、人にやさしいといったエコ・エシカルな商材は徐々に増加してきてはいるものの、第6回でも述べた通り、それが購買の決定的な要因になるかといえばそうではない、というのが現実です。特に、購入に際し機能・デザイン・価格といった様々な要素が存在する場合、「社会貢献」はそのひとつとして埋没してしまいがちです。

私たちが日々の買い物において複数の商品を比較する際、どれを買うか判断するにあたっては様々な要素が存在します。

そんななかで「社会貢献」が購入の決定打になるという場面は、買い手がよほどそれを重視しているか、あるいは比較対象の社会貢献レベルが極度に低い、もしくは明らかにマイナスである場合を除き限定的なのではないでしょうか。

規模の大小を問わず、多くの企業が社会貢献を日々意識し、コストを払って実際に貢献もしている反面、その努力を売上や利益として回収できていないという実態があります。しかし、自社の商材や買い手が享受する本当の価値を見つめなおすことで、「社会に貢献している」という事実をもって、拡販や値上げを実現する道も生まれると当社は考えています。

”必要経費”型の商材で社会価値を収益化

その事例のひとつとして今回ご紹介する考え方は、「既存商材に社会価値を付与して売る」のではなく、「お客様の社会貢献の一環もしくは代替として自社商材を買ってもらう」という発想の転換です。

既存の自社商材を高く売るために社会価値を訴求する、というのはある意味自社都合であり、先ほど述べた通り買い手側は購入の際に色々な要素を総合判断するため、思惑通りに社会価値の訴求が受け入れられるかは未知数で、実際に多くの企業が苦労しています。

しかし、買い手側が既に実施している社会貢献活動のリストのなかに、自社が提供する社会価値の購入を加えてもらう、という考え方ならどうでしょうか。

特にBtoBの場合、顧客企業はお金を払って社会貢献活動を支援、もしくは自ら実施しているケースは珍しくありません。その社会貢献活動のリストの中に、自社商材の購入を加えてもらう、もしくは既存のものと入れ替えてもらうのです。

買い手側にとっては、社会貢献活動として費用を支出するなかで必要な商材の調達もできてしまうということで”お得感”が生まれます。売り手側も、既存商品の競争とは異なる土俵での訴求・販売が可能となりますので、条件が合えば一考に値するモデルといえるでしょう。

既存商材に社会価値を付与して売るのではなく、お客様の社会貢献の一環もしくは代替として自社商品を購入してもらう、必要経費型の商材で社会価値を収益化するビジネスモデルが有効な場合がある

社会価値から対価を得るには、収益化モデルの再考が有効

一般的に、社会価値で対価を得ることが難しいのは周知の事実といえますが、工夫次第では他社との競争に巻き込まれない、ユニークなビジネスモデルを構築することも不可能ではありません。

今回ご紹介した、「社会価値を付与した商材を売る」のではなく「社会価値そのものを商品の形で買ってもらう」という画期的なモデルを実現する上では、そもそも高いレベルの社会価値を創造することや、多くのプレーヤーに共感・参画してもらえるイニシアティブの推進など、難易度の高い施策が必要になるケースもあります。

ですが、ひとたびこうしたモデルを確立できれば、対価向上につながる大きな武器となることは間違いありません。

あなたの会社でも、新しいモデルを構築して社会貢献の努力を対価に変えてみませんか?

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