第72回 なぜ社長の想いが伝わらないのか? ー中期経営計画を使った対話と信頼のデザイン

なぜ社長の想いが伝わらないのか?

「こっちは並々ならぬ想いを持っているんだけど、なかなか社員が腹落ちしないんだよね…」

経営者は誰しも、社員に自分の想いと熱量を理解してついてきてほしいと願っています。しかし、熱心に語っても、なぜか社員には届かない。——そんなもどかしさを感じる場面も少なくありません。

そのもどかしさの原因は、想いの不足ではありません。想いが“説得力のある物語”になっていないことにあります。ここでいう物語とは、定性的なビジョン(価値観・ありたい姿)と、現実に即した数字・行動の整合が取れた一本筋のことです。

目次

中期経営計画は「想いを伝えるためのツール」

中期経営計画(中計)は、単なる成長シナリオや銀行向け資料ではありません。社長が「ありたい姿」を言葉にし、それを現実に落とし込む数値と行動に適切に翻訳することで、最後は物語となる——この過程で、想いは“説得力”を帯びます。

説得力ある中計が示されると、社員は「この未来を実現すれば、自分たちにとっても意味がある」と考えることができます。さらに内容自体も価値観と合致したものであれば、共感・信頼を抱きやすくなります。

さらに大切なのは、社員との対話を通じて計画を磨いていくことです。策定段階から「この数字は本当に可能か?」「現場のどこを変えるべきか?」といった議論を重ねれば、社員側も理解・納得をしやすくなります。

また、策定・発表後も定期的に中計を参照し、社長が自らその意図や意義を語ることで、さらに浸透は加速していきます。その効果をご存じの当社のお客様のなかには、毎月の定例会議の最初に必ずサマリーページを唱和している社長もいらっしゃるほどです。

信頼が広がると、会社が加速する

ここで生まれる信頼の意義は、単に社長と社員の間の相互理解を深めるのみにとどまりません。社長のビジョンを深く理解した社員は、社内では仲間に語り、社外では顧客や取引先に語ります。その結果、以下のような効果が期待できます。

  • 社内では一体感が増し、動きが速くなる
  • 顧客や取引先からは、自社を独自の存在として捉えてもらえる

信頼が社内外に波及するとき、会社全体が動き出し、計画は机上のものではなく現実を変える力となります。まさに中計がもたらす“化学反応”といえるでしょう。

社長の想いは、言葉だけでは伝わりません。説得力ある中期経営計画をもとに、社員との対話を重ねることで初めて、想いは信頼に変わり、会社を動かすエネルギーとなります。

想いを数字と行動に結びつけ、信頼を育む計画づくり。その難しさを、社長が独りで抱える必要はありません。経営者の物語を筋の通った形に整理し、社員に届くものへと磨き上げる——私たちは外部の経営企画パートナーとして、そんな役割を担っていきます。

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著者プロフィール

トラスタライズ総研株式会社
代表取締役 池尻直人

社外経営企画室長・経営企画パートナー
独自の「トラスタライズ手法」を用いて、見えない信用や信頼を、目に見えるカタチに変え、対価へと変えることで多くの経営者から注目を集めている。企業経営において社会・顧客双方の価値の創出が求められる時代にあって、顧客企業が持続的に成長し、信頼を築き上げていけるよう、経営企画機能を伴走型で提供している。

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トラスタライズ総研株式会社
代表取締役 池尻直人

社外経営企画室長・経営企画パートナー
独自の「トラスタライズ手法」を用いて、見えない信用や信頼を、目に見えるカタチに変え、対価へと変えることで多くの経営者から注目を集めている。企業経営において社会・顧客双方の価値の創出が求められる時代にあって、顧客企業が持続的に成長し、信頼を築き上げていけるよう、経営企画機能を伴走型で提供している。

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