第66回 選ばれる会社になるための3ステップ ─ 「企業の姿勢」を「選ばれる理由」に変える

自社の優れた姿勢を一歩踏み込んだ形で具体化し訴求の中核的要素にせよ

「自社の姿勢」をさらに一歩踏み込んだ形で具体化することで、対価につながる訴求の中核的な要素にすることができます。

「御社は誠実でいい会社だとは思うけど…もう少し安くならないの?」

ある企業の営業担当が、商談の後に取引先から投げかけられた言葉だそうです。自社の理念や真摯な取り組みには誇りを持っている。しかし、それが「選ばれる理由」として、商談の場で機能していない。これは、多くの中小企業で見られる共通の悩みかもしれません。

当社トラスタライズ総研では、「信頼」を企業価値の中核となる概念の1つと捉え、それを「対価に変える」企業戦略のあり方を追求しています。本稿では、その視点から、企業の「姿勢」をいかにして「選ばれる理由」へと変換するかを、3つの具体的なステップに分けて解説します。

目次

ステップ1:姿勢の定義を明確にする──抽象から具体へ

「誠実に仕事をしている」「お客様に寄り添う」──よく耳にする言葉ですが、それがなぜ自社が「選ばれる理由」になるのかが明確でないことが少なくありません。これらの概念自体が拒否されることはあまりありませんが、それだけでは売上にはつながらない。文字にするとごく当たり前のことですが、効果的な訴求につなげられているケースは稀です。

まず取り組むべきは、実際に受注につながったケースを念頭に置きながら、売れる理由、選ばれる理由、自社が目指すべき企業としての姿勢を言語化してみることです。それができると、「どういう判断基準で事業を営むべきか」が説明できるようになっていきます。

たとえば、

  • 「価格よりも長期的な安心を重視する」
  • 「持続可能性と地元雇用の両立を経営の軸に据えている」
  • 「正論よりも対話を大切にする」

これらは、企業の行動や意思決定の背景にある「価値判断のスタンス」を決めるものであり、対価につながる信頼の訴求を行うための第一歩です。

ステップ2:姿勢を裏付ける具体的な取り組みを積み上げる

どれだけ立派な姿勢を掲げても、それが行動に現れていなければ、信頼にはつながりません。重要なのは、その姿勢を行動で証明することです。

たとえば、

  • 地元学校との連携で若手育成プログラムを10年以上継続
  • 下請けとの不当な取引を一切行わず、適正な利益配分を守る方針
  • 顧客都合によるキャンセルにも柔軟対応し、損をしてでも信頼を優先

こうした行動の積み重ねが、「この会社は言っていることとやっていることが一致している」という確信を生み出します。

とはいえ、対価・成長につなげる観点からは、何でもかんでも訴求すればよいというわけではありません。大切なのはあくまでも、「売れる理由」につながる姿勢と行動を貫けるかどうかです。

ステップ3:姿勢から得られる信頼を、対価に変換する

最後に、企業の姿勢を対価に変えるには、「どうすればそれが売上や採用、提携につながるか」をあらかじめ設計し、明確にしておくことが有効です。

たとえば、以下のような具合です。

  • 「誠実さ」=アフター対応が丁寧 → 顧客のリピート率が上がる
  • 「地域への貢献」=地域イベントに継続参加 → 自治体からの案件につながる
  • 「環境への配慮」=地元での再エネ推進 → 意識の高い取引先から選ばれる

一貫して言えることは、信頼の効果的な訴求のためには、抽象的な概念で終わらせてはなりません。信頼→選定理由→対価というルートを設計し、社内にも明示することが重要です。

これができてくると、これまで大事だとされながらも、事業の対価にはつなげにくかった「企業姿勢」を、自社が選ばれる理由に変えていくことができます。売上だけでなく、近年難易度が上がっている従業員の採用や定着率向上にも活用していくこともできます。

  • 提案書や営業資料に「なぜ自社を選ぶべきか」を企業姿勢の面から具体的に明記する
  • 採用サイトで社員が共感している“企業の価値観”をインタビュー形式で紹介する

「この会社は、◯◯という明確な姿勢を持っている。だからこそ仕事を依頼したい/ここで働きたい」という、信頼と共感に基づくストーリーが生まれるのです。

選ばれる会社になるための3ステップ

企業の姿勢を「選ばれる理由」に変える取り組みは、単なるPRではなく、信頼を資産として積み重ねるプロセスを設計し、訴求も含めて運用することに他なりません。

そしてその実現には、自社事業の客観視・言語化・仕組化といった過程が必要です。当社トラスタライズ総研では、経営者の方との対話を通じ、姿勢を信頼へ、信頼を価値へと転換するご支援を行っています。

経営計画や営業戦略、採用方針のすべてに一貫する“信頼”の軸をつくることにご興味がおありでしたら、ぜひ一度当社にご相談ください!

著者プロフィール

トラスタライズ=信頼を対価に変えるコンサルタント
トラスタライズ総研株式会社

代表取締役 池尻直人

企業の「信頼を対価に変える」専門コンサルタント。
独自の「トラスタライズ手法」を用いて、見えない信用や信頼を、目に見えるカタチに変え、対価へと変えることで多くの経営者から注目を集めている。企業経営において社会・顧客双方の価値の創出が求められる時代にあって、「信頼」を切り口に、顧客企業が売上・利益を向上させられる手法の研究・提言を行っている。

著者プロフィール

トラスタライズ=信頼を対価に変えるコンサルタント
トラスタライズ総研株式会社

代表取締役 池尻直人

企業の「信頼を対価に変える」専門コンサルタント。
独自の「トラスタライズ手法」を用いて、見えない信用や信頼を、目に見えるカタチに変え、対価へと変えることで多くの経営者から注目を集めている。企業経営において社会・顧客双方の価値の創出が求められる時代にあって、「信頼」を切り口に、顧客企業が売上・利益を向上させられる手法の研究・提言を行っている。

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目次
ポイント1:「対価に変えられる信頼」の見つけ方
ポイント2:信頼を効率的に対価に変える戦略の描き方
ポイント3:信頼を可視化・証明する仕組みの作り方
ポイント4:信頼から確実に対価を得るための訴求のやり方
ポイント5:信頼活用に向けた社内の意識改革のやり方

価 格:¥2,200 (税込)
発売元:日本コンサルティング推進機構


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信頼を対価に変えるトラスタライズ・セミナー
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