第8回 ”信頼”を重視する潜在顧客の探索

"自ら信頼性を磨く顧客"を見つけ出し、共に成長する関係を構築せよ

第6回第7回では、製品・サービスを決める重要なポイントである「顧客が抱く期待値」を、「顧客がその製品・サービスから得たいと考える効用の大きさ」と「顧客が思い描く効用が期待通りに提供される確度」の2つの観点から検討しました。

今回からは、これらを向上させる具体的な考え方・方法の例をご紹介していきます。

目次

信頼性を重視する顧客を探すには

 今回はまず、「信頼性を重視する顧客へのアプローチ」について取り上げます。これは、信頼を対価に変えるため、そもそも製品・サービスの信頼性を重視して対価を支払ってくれる顧客層にアプローチするというものですが、具体的にどのような層が該当するかは業界によって異なります。ただ、品質の高さ(ここでは「期待する効果が得られる確度が高い」の意)を訴求する場合は、「高級品ゾーン」「失敗したくない想いが強い顧客層」に着目し、アプローチを試みるのがセオリーといえます。

 買い手にとって、売り手の「信頼」とは、「購入により失敗する可能性が低い」状態を担保するものですので、裏を返せば「買い手にとって失敗したときのリスクが高い」領域をターゲットにすることで、「信頼」の価値がより大きくなっていくということです。

購買時に「信頼」を重視する顧客は、自分の信頼性も重視している

 「信頼性を重視する顧客の見つけ方」としてもう1つ注目すべきは、他者の信頼を重視する人は、自分自身の信頼性も重視する傾向があるとみられる点です。信頼を取り扱った名著である「信頼の構造(山岸敏男著 東京大学出版会)」を参照し、当社なりに解釈したところでは、様々なプレーヤーが存在し社会的に不確実な状態が発生している現代社会においては、信頼できる者同士が関係を構築することでメリットがあるといいます。そしてそのためには、「一般論として他者の善良さを信じること」、「他者の信頼性を見極められるようになること」、そして「自分自身が信頼に値するよう正直で公正な人間性を磨くこと」が必要だというのです。

 確かに「誰かと関係を築くことで恩恵が得られるかもしれないが、相手が信頼できるかわからない」という状況においては、自分や他人の「信頼」は関係構築のための大きなカギになりそうです。

 同書での議論は必ずしも企業活動に限ったものではありませんが、企業活動における「信頼」の活用にも十分応用可能であると当社は考えています。自分自身の信頼性を磨くことを重視している消費者・企業ならば、製品・サービスを購入する先の信頼性も重視することが多いですし、それを見極める目も持っています。ですから、「信頼を対価に変える」ためには、高い信頼性をアピールしている相手を見つけてアプローチすべきなのです。(もちろん、自社の信頼性が一定程度構築できていることが前提です)

 そして信頼を重視する潜在顧客を見つけるためには、B to Bであれば、SDGs、SBT等脱炭素関連やISO等の認証、その他表彰制度等を積極的に取得・アピールしている企業を探すのが1つの手段として考えられます。

 B to Cの場合は、例えば「エシカル消費に該当する商品をそれ専用の販売チャネルに出品可能」といったことがなければ、信頼を重視する消費者を数多く見つけることはやや難しいかもしれません。ただ、”信頼性”やそれに類するワードから想定される層をターゲットにする(例えば、”知性”や”洗練”を得たいと思っている人が読みそうな雑誌の購読者等)など、可能性はありそうです。

信頼を重視する潜在顧客を見極めて共に成長する

 自社の信頼を対価に変えるために、それを評価してくれる潜在顧客を見極めることは非常に重要です。そのためには、自社の製品・サービスの買い手にとっての購買リスクの大きさ、および買い手自身が信頼を重視する度合いに着目すべきというのが今回の議論です。そのような買い手を顧客とし、共に信頼性を高めながら成長できる関係を築ければ理想的といえます。

 貴社の見込み客のなかに、信頼性を磨いている企業・顧客層はいませんか?

セミナー情報はこちら

信頼を対価に変えるトラスタライズ・セミナー
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次